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色々流派はあると思いますが、私がいたラボでの指導内容、個人的なコツをメモ。
基本操作
①ナスフラスコをエバポレータに接続
②ゆっくり回転させながら徐々に減圧
③気泡が発生した場合はリークさせて圧を戻して調整
④フラスコ壁が十分冷たくなったら(溶媒が飛ばなくなったら)浅く湯浴につけて加温
うまく飛ばすポイント
ⅰ湯浴温度
高くしすぎない。高すぎると突沸を誘発する。
ジクロロメタン(bp.40℃)などは湯浴の電源をつける必要なし。
酢酸エチル(bp.77℃)・クロロホルム(bp.62℃)なども40℃程度で十分。
個人的目安としては、沸点より20℃以上低いくらいで問題なし。
トルエン(bp.110℃)など高沸点溶媒は別項で述べるが、高くても60~70℃くらいまで。
使用直後で目的温度より湯浴が熱い場合は、面倒でも水を追加するなどして冷やすことを推奨。
ⅱ液量
ナスフラスコ量に対して液量が多すぎると、溶媒除去効率が低下し、突沸もしやすくなる。
理想はフラスコ表示体積の4割程度、多くても6割。
視覚的な目安としては、ナスフラスコの首側の細くなり始める部分より下に納めること。
液量が多すぎるときも、全量一気に飛ばすより小分けにして飛ばしたほうが速くて安全。
ⅲ回転速度・角度
エバポレータは回転によって液を薄膜化させ、壁が加温されることで蒸発させる仕組み。
角度を浅く(フラスコを地面に平行に近い側に倒し)速く回転させるほど薄膜の表面積は広くなり効率も上がる。
しかし、やりすぎると液が飛び散ってモノの析出する範囲が広くなってしまう。
要は、かきとりにくくなる。
ⅳ湯浴につける深さ
深くつけると薄膜以外の部分(バルク)も加熱され、液中で気泡が発生(突沸)する原因になる。
できる限り浅くつけることを意識する。
ⅴ高沸点溶媒(bp.100℃~, 特に水・トルエンなど)
普通に飛ばそうとするとトラップ球に液が溜まる。
その場合、本来の使い方ではないが、トラップ球を氷冷すると除去効率が上がる。
冷却なしだと、トラップ球に溜まった液(かなり温かい)の蒸気圧が減圧度を悪化させ、蒸発効率が下がる。
トラップ球に溜まった液は面倒でもこまめに捨てる。
万一突沸した場合、せっかく除去した溶媒が系内に戻ってきてしまう。
飛びにくいからといって、ポンプで引きっぱなしの状態で湯浴につけたままにするのは非推奨。
ポンプ側の配管チューブが溶媒で膨潤し、閉塞するのを誘発する。突沸の原因にもなる。
ⅵ共沸の活用
いくつかやったことがある例
・水/トルエン(ベンゼン)
水単体で飛ばすよりは遥かにマシだが、トータルの液量はなかなか減らないので根気が必要(水自体は減る)。
水は薄膜になりにくいので、できるだけ角度浅く、回転速度も高めで。
トラップ球や液溜まりに溜まった液はこまめに捨て、アセトンなどでゆすぐ。
ベンゼンのほうが共沸点が低く飛ばしやすいが、毒性を考えると使用は避けたほうがいい。
・ヘキサン/酢酸エチル
共沸混合物を作るので、痕跡量の酢酸エチルがNMRで見えて萎えぽよ~ってときに、
ヘキサンを少量加えてからエバポレートするとキレイに酢酸エチルが抜ける。
酢酸エチルよりヘキサンのほうが低沸点・おそらく潜熱も小さいため残りにくい。
当然ながら、ヘキサンをちゃんと飛ばせてないとヘキサンのピークが出てくるので注意。
自分は共沸することを知ってから必ず酢酸エチル除去後にはヘキサン添加してエバポレートしてました。
・トルエン/酢酸(出典:http://blog.livedoor.jp/mtorgchem/archives/19474271.html)
厳密な意味での共沸ではない可能性があるが(文献未発見)、実際に何度か実行した事あり。
エバポレート後にも酢酸臭が残っているような気がするなど、信頼性はやや低い印象。
そもそも痕跡量とはいえ酸をエバポで飛ばすなという話(できる限り分液で除こう)。
共沸組成の文献はこちら(オープンアクセス)
https://pubs.acs.org/isbn/9780841224445
共沸組成文献は他にもいくつかあったはずだが、データが古いものも多く、
また信頼性が微妙なデータが混じっていることがあるのも事実。
(極大共沸でも極小共沸でもない共沸点が示されているなど。データ元文献の不備)
また、エバポレートは減圧下での操作なので、共沸点・共沸組成は常圧からずれることに注意(意識する必要性はおそらくないけど)。
基本操作
①ナスフラスコをエバポレータに接続
②ゆっくり回転させながら徐々に減圧
③気泡が発生した場合はリークさせて圧を戻して調整
④フラスコ壁が十分冷たくなったら(溶媒が飛ばなくなったら)浅く湯浴につけて加温
うまく飛ばすポイント
ⅰ湯浴温度
高くしすぎない。高すぎると突沸を誘発する。
ジクロロメタン(bp.40℃)などは湯浴の電源をつける必要なし。
酢酸エチル(bp.77℃)・クロロホルム(bp.62℃)なども40℃程度で十分。
個人的目安としては、沸点より20℃以上低いくらいで問題なし。
トルエン(bp.110℃)など高沸点溶媒は別項で述べるが、高くても60~70℃くらいまで。
使用直後で目的温度より湯浴が熱い場合は、面倒でも水を追加するなどして冷やすことを推奨。
ⅱ液量
ナスフラスコ量に対して液量が多すぎると、溶媒除去効率が低下し、突沸もしやすくなる。
理想はフラスコ表示体積の4割程度、多くても6割。
視覚的な目安としては、ナスフラスコの首側の細くなり始める部分より下に納めること。
液量が多すぎるときも、全量一気に飛ばすより小分けにして飛ばしたほうが速くて安全。
ⅲ回転速度・角度
エバポレータは回転によって液を薄膜化させ、壁が加温されることで蒸発させる仕組み。
角度を浅く(フラスコを地面に平行に近い側に倒し)速く回転させるほど薄膜の表面積は広くなり効率も上がる。
しかし、やりすぎると液が飛び散ってモノの析出する範囲が広くなってしまう。
要は、かきとりにくくなる。
ⅳ湯浴につける深さ
深くつけると薄膜以外の部分(バルク)も加熱され、液中で気泡が発生(突沸)する原因になる。
できる限り浅くつけることを意識する。
ⅴ高沸点溶媒(bp.100℃~, 特に水・トルエンなど)
普通に飛ばそうとするとトラップ球に液が溜まる。
その場合、本来の使い方ではないが、トラップ球を氷冷すると除去効率が上がる。
冷却なしだと、トラップ球に溜まった液(かなり温かい)の蒸気圧が減圧度を悪化させ、蒸発効率が下がる。
トラップ球に溜まった液は面倒でもこまめに捨てる。
万一突沸した場合、せっかく除去した溶媒が系内に戻ってきてしまう。
飛びにくいからといって、ポンプで引きっぱなしの状態で湯浴につけたままにするのは非推奨。
ポンプ側の配管チューブが溶媒で膨潤し、閉塞するのを誘発する。突沸の原因にもなる。
ⅵ共沸の活用
いくつかやったことがある例
・水/トルエン(ベンゼン)
水単体で飛ばすよりは遥かにマシだが、トータルの液量はなかなか減らないので根気が必要(水自体は減る)。
水は薄膜になりにくいので、できるだけ角度浅く、回転速度も高めで。
トラップ球や液溜まりに溜まった液はこまめに捨て、アセトンなどでゆすぐ。
ベンゼンのほうが共沸点が低く飛ばしやすいが、毒性を考えると使用は避けたほうがいい。
・ヘキサン/酢酸エチル
共沸混合物を作るので、痕跡量の酢酸エチルがNMRで見えて萎えぽよ~ってときに、
ヘキサンを少量加えてからエバポレートするとキレイに酢酸エチルが抜ける。
酢酸エチルよりヘキサンのほうが低沸点・おそらく潜熱も小さいため残りにくい。
当然ながら、ヘキサンをちゃんと飛ばせてないとヘキサンのピークが出てくるので注意。
自分は共沸することを知ってから必ず酢酸エチル除去後にはヘキサン添加してエバポレートしてました。
・トルエン/酢酸(出典:http://blog.livedoor.jp/mtorgchem/archives/19474271.html)
厳密な意味での共沸ではない可能性があるが(文献未発見)、実際に何度か実行した事あり。
エバポレート後にも酢酸臭が残っているような気がするなど、信頼性はやや低い印象。
そもそも痕跡量とはいえ酸をエバポで飛ばすなという話(できる限り分液で除こう)。
共沸組成の文献はこちら(オープンアクセス)
https://pubs.acs.org/isbn/9780841224445
共沸組成文献は他にもいくつかあったはずだが、データが古いものも多く、
また信頼性が微妙なデータが混じっていることがあるのも事実。
(極大共沸でも極小共沸でもない共沸点が示されているなど。データ元文献の不備)
また、エバポレートは減圧下での操作なので、共沸点・共沸組成は常圧からずれることに注意(意識する必要性はおそらくないけど)。
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